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04/06/2006

テクノデリック

 ロンドンの最終日は、日本に帰る両親を見送ったあと、テート・ブリテンに行ってきました。今までテート・モダンには2階も足を運び、ナショナル・ギャラリーにも行きましたが、テート・ブリテンにはあまり興味を持っていませんでした。

 これはイギリス美術というものに対する関心の薄さからくるもので、私自身が教科書的な美術史の枠組みにとらわれていたせいだったと思います。つまりダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロに代表される盛期ルネサンスを頂点とするような西洋史の概念を基本とするなら、イタリア、フランス、オランダ、スペインなど、きらめくような巨匠を生み出してきた国々と比較すれば、イギリス美術においてそれに匹敵するような画家はターナーとコンスタブルくらいしか見当たらないというのが常識的な見方で、結局、私もそうした見方からしかイギリス美術を見ていなかったわけです。

 今回、テート・ブリテンを訪問し、こうした常識がいかにつまらないものであったかを痛感しました。長くなるので多くは語りませんが、イギリス美術を捉えなおすための新しい視点の可能性を感じました。さらにイギリス文化全体に対する認識も少し改まりました。

 そうした全体の感想とは別に、ひとつ発見がありました。それはJohn Heartfieldという写真家の作品についてです。

 この写真家は、ナチスの手を逃れて活動の場をイギリスに移し、政治的なモンタージュ写真などで活躍したようです。代表的な作品のなかには共産党の雑誌の表紙があったらしく、このうちのいくつかが展示してありました。

 この表紙のひとつに使われていた写真は、もうずいぶん以前から私にはなじみのあった作品でした。

 YMOの『Technodelic』というアルバムには、2種類のジャケットがあります。発売当初は、メンバー3人が異様なメイクをした写真が使用されていました。私はアナログ盤ではこちらを持っています。けれども後にこのジャケットは使用されなくなり、かわりにロシアの農婦の写真が施されたジャケットに変わりました。

 この写真がいったい何なのか。長いあいだ疑問に感じていました。この度、テート・ブリテンでこの写真に遭遇したのです。このHeartfeldの経歴からすれば、当時、YMOがこの写真を使用した理由もなんとなく納得がいきます。おそらくこの写真を選択したのは、坂本龍一でしょう。(この推測は間違いだそうです。詳しくはコメント欄を参照してください。2018年1月)

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Technodelic

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Comments

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残念ながらご推測は誤りで、コルホーズの女性を選んだのはADの奥村靫正氏です。

Posted by: Kouichi | 01/11/2018 at 02:15 AM

Kouichiさん
そうなんですか。勉強になりました。貴重な情報をお寄せいただき、ありがとうございます。

Posted by: hiro | 01/14/2018 at 06:37 AM

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