02/07/2007

醒めない夢

 昨晩、寝る前にシュアンが私に日本に送る荷物にまだ余裕はあるかと聞きました。コベント・ガーデンでティーポットとカップのセットを買ってくれたそうです。私がコベント・ガーデンでティーポットを買おうとしていて予定を変更したことを覚えていたのです。ただデビット・カードをフラットに置いていったらしく、支払いが済んでおらず、品物は店にあるということでした。

 日本への荷物の引き取りは朝9時から夕方5時までの間で時間指定はできないということでした。シュアンは朝からティーポットを取りに出かけましたが、間に合うかどうか不安でした。

 箱にテープを張らずに待っていると午前11時ごろ配送業者が来ました。シュアンに電話をかけたところ、ちょうど最寄の駅に帰ってきたところでした。

 しばらく業者の方に待ってもらい、慌ててティーポットを荷物に含め、箱にテープを張り、業者の人に引き取ってもらいました。

 集荷が早く済んだおかげで、少し時間に余裕ができました。ロンドンで最後の翻訳原稿を入稿し、また町にくりだしました。ロンドンのティン・パン・アレーと呼ばれるデンマーク・ストリートに行っていなかったことを思い出し、その周辺を散策しました。寒い日でした。冬の午後の弱い光を浴びたセンターポイントがピンクに染まっていました。

 ロンドンにはまだまだ私の知らない顔がたくさんありそうです。けれどもようやくさほど迷いもせず、この町を歩けるようになりました。

 2003年に友人の勧めで試験を受け、通訳学校に入学しましたが、その頃もまだ自分に通訳ができるなんても思いもしませんでした。目の前に道があるなら行けるところまで行ってみようと思い、留学を視野に入れ始めたのは2004年の春でした。一緒に通訳の勉強をしていた友人の牧師がオーストラリアのクイーンズランドに留学したというのも刺激になりました。留学を意識し始めた頃から数えれば約3年がかりの活動が、明日でひとつの区切りを迎えます。

 日本を出てから、1年半、まったく日本に戻らず、ヨーロッパ、アジア、中東、アフリカの9カ国を巡り、イギリスでは3つの町に滞在することができました。

 捨てるものはなにもない。失敗しても元の場所に戻るだけ。そんな捨て鉢な気持ちでここに来たわりには、思いのほか多くの成果を挙げられました。今、日本に来る前には見えなかった道も視野に入ってきました。同時に今の自分の限界と課題も極めてくっきりとした輪郭を描いているように思われます。

 18世紀に古代ローマの温泉の遺跡を中心として復興された町、バースはおそらく世界史上初のテーマパークではなかったかと思われます。この町で一年を過ごし悟ったことは、目を開いたままで見ることのできる夢もあるということでした。

 数年後にここで得たものをたんなる異国での楽しい思い出にしてしまわないために自分自身の記念の品はあまり用意していません。実用品や小さなものは別として、記憶を保温するためだけの目的しか持たないものはなるだけ処分しました。唯一の例外はミネラルウォーターのペットボトルに入ったサハラ砂漠の砂です。

 明日、ロンドンを発ちます。例えば、日本に帰る予定のその日に私がこの世の中から消えてしまうとどうなるだろうか、などということも考えてみました。そんなふうに終わる人生だってあってもいいのかもしれません。

 などといつもの子供じみた観念をもてあそびつつ、しみじみとイギリス最後の夜を過ごすつもりだったのですが、そうは行きませんでした。

 フラットに帰ってくると、日本から一通のメールが届いていました。日本通訳学会関西支部例会での研究発表採択決定通知でした。イギリスで書いた論文をもとにした発表のための審査を受けていたのです。日本に帰ってからも、次から次へとやることあります。浦島太郎でおなじみの優雅で残酷な感傷を噛みしめる贅沢は私には許されないようです。

 このブログはここまでにしておきます。毎日、ここでは書ききれないほどいろいろなことが起こりました。一度でもこのブログを訪問してくださったすべての方に心より感謝いたします。

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謝々
The sweetest moment comes at last.

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02/06/2007

千年橋

 配送業者への確認電話やTVライセンスの解約、その他の雑用を済ませ、早めに家を出るつもりが、あれやこれやとシュアンの引止めにあい、家を出るのは午後になってしまいました。

 近所の商店街でそそくさと用事を済ませ、小物の買い物をし、立ったままチキンバーガーを食べ、テムズのほとりにくりだしました。目的はミレニアム・ブリッジを挟み聖ポール大聖堂の向かいにそびえるテート・モダンです。

 テート・モダンにはもう何度も行きました。常設展示は、それほど感心しないこともあります。なにかのついでにちょっと立ち寄るだけのこともあったので、これはこちらの気分にも寄るのかもしれません。

 それでももともと時代の新しい美術ほど興味があるので、ここはもう一度立ち寄っておく必要を感じていました。

 最初に戦後の抽象絵画の流れをテーマにした展示を見たときに、今日はここに来て正解だったと気づきました。その後、美術館としてそれほど力を入れているとは思えないシュルレアリスムとその後の展開を扱った企画展を見て、美術史上、さほど目立った活躍はしていないイギリスとはいえヨーロッパの美術館の底力を感じました。

 他にも3つの展示を周り、足は痛みはじめていたものの、もうこれほどの美術館をゆっくりと周ることは2度とないかもしれないと思い、結局、会場の隅々まで足を運びました。

 2月15日から現代イギリスを代表するモダン・アーティスト、ギルバート&ジョージの展覧会が開催されるようです。残念ながら私は見にいけません。けれども設営中の会場を自由に覗けるようになっていて、だいたいの様子を知ることはできました。

 シュアンはもしかするとイギリスの就労許可が取れそうな見込みになってきました。給料はあまりよくなさそうですが、第一線の通訳者の事務所で働けるので非常にいい経験になると思われます。

 新しい学生ビザの申請中だけに、ちょっともったいないような気になっているようですが、シュアンのビザは1月末までだったので、そのビザを申請していなければ、今、ここにはいられなかったのです。不安に怯えながら過ごす数ヶ月を省けただけ幸運です。

 明日は日本に運ぶ荷物の集荷があるので、今日中に荷造りを終えねばなりません。

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ひさびさにこんなところまであげてもらいました!
出国まであと2日

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02/05/2007

予定外

 出国間際ということで、やらねばならないこと、やっておきたいことがたくさんあるので、あらかじめ日程表を作ってこなしています。ところが予定外のことも次々起こるので、計画通りに事を進めようとするとなかなか大変です。

 口座を解約するつもりで銀行に行きました。もうイギリスのデビット・カードも使えなくなるのかと思うと、少しずつこの社会から剥がれ落ちていくような気がしました。

 店内で1時間も待たされた挙句、ようやく担当者と話すことができました。恰幅のいい紳士で、なかなか丁寧な対応でした。世間話をするうち、自分の娘もバース大学で勉強中だなどと言っていました。やはり口座を解約するよりは残しておいたほうがいいのではないかと言われ、助言に従うことにし、住所のみ日本に変更しました。カードには有効期限が来年の10月までと記載されているのですが、これはカードの有効期限で、口座自体は残るようです。またカードが必要であれば、請求できるようです。

 ただ口座の取引を確認するうち、未払いのクレジットカード使用記録があることが発覚しました。ふだんイギリスの口座から落ちるクレジットカードはそれほど頻繁に使っていなかったのですが、使用分は自動的に口座から落ちると思い込んでいたので、混乱しました。

 なぜそんなことになっているのか、説明してもらったのですが、うまく制度が理解できず、そのうち自分が何を理解していないのかもわからなくなり、その処理はせずに帰ってきてしまいました。1年半もイギリスに住み、ここでの暮らしも終わりだというのに、またしてもこんなところで躓くのです。

 ひどく煮え切らない気持ちでフラットに戻り、シュアンを巻き込み口論したりしつつ、手元の書類を読んだり、インターネットで調べ物をしたりして、ようやく自分の置かれた状況が理解できました。

 イギリスのクレジットカードにまつわるトラブルは身の回りでも頻繁に起きていました。身に覚えのない請求などはよくある話です。けれども、今回の件はどうやら私が制度を理解していなかっただけのようです。問題を整理したときにはすでに夜の8時でした。

 明日、もう一度、銀行に行かねばなりません。この出費も予定外です。他にも予定外に清算せねばならない支出があって、急に貧乏になった気分です。

 ようやく翻訳にとりかかることができたのはその後です。このファイルは今晩中に仕上げねば、明日の予定がこなせません。出版社からは通常10時間かかると見積もられているファイルです。私は仕事は速いほうですが、それでも一定の品質を維持するためには7時間はかかります。

 今日は珍しくシュアンが夕食をすべてひとりで用意してくれました。彼女は、この数ヶ月でかなり料理の腕を上げました。私の作る料理を再現しようとしているらしいのですが、なかなかその通りにできないとのことです。別にその通りにつくる必要はまったくないし、そういう努力をしてくれるのは嬉しいことです。

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もうひとつ上までは狙えそうですね!
出国まであと3日

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02/04/2007

大家と踊り子

 大家のマークの誕生日が次の火曜ということで昨晩はこのフラットに何人かが集まってパーティーをしていたようです。昨晩、私が帰ってきたときにはフラットはもぬけの殻で、キッチンには洗っていない食器や食べ残しのケーキなどが散乱していました。

 何時ごろかわかりませんが、夜中に何人かがフラットに入ってきたのは覚えています。聴きなれない女性の、このフラットはすごく寒い、という声が聞こえました。

 午前中はリビングでマークが寝ていたので、自分の部屋で日本へ送る荷造りをしていました。キッチンは散らかっていましたが、私が後片付けをする気にはなりませんでした。

 買い物をして帰ってくると、フラットではリンが出迎えてくれました。昨日の女性の声の主はリンだったようで、シュアンの部屋に泊まっていたようです。イギリスにいる間にもう一度リンに会えるかどうかというのも気になっていたことのひとつでした。

 夕食は私とリンのふたりで2品ずつ料理しました。バースに着いた日に初めて言葉を交わした相手がリンでした。ソフィアと共にバースでの最初のフラットメイトのひとりです。

 リンもコースの最中から、大学のカリキュラム以外にいろいろなことに挑戦していました。その点では、とても話があいます。お互い、ベストを尽くしたよね、と言ったところ、いや、もっとできたはず、との答えが返ってきました。

 今になって思えば、ドーハに一緒に行った仲間はみなコース中からかなり職業意識が高かったように思えます。

 バースでの最初の2週間、リンは毎晩のように夕食の用意をしてくれました。リンはとても料理が得意なので、私はずっと料理ができないふりをしていました。

 マークは明日、バースで仕事があるので帰りましたが、リンはもう一晩、泊まっていくようです。今も目の前に座っています。私がブログを書いているのは知っていて、もう終わったか、などと聞いています。早く終わったほうがいいようです。

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もうすぐ終わりです!
出国まであと4日

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02/03/2007

かつてのすみか

 バースを訪問し、今年、バースの通訳翻訳過程で勉強中のみなさんと話してきました。みなさん、とても忙しそうなので邪魔をするわけにもいかず、あまり大勢には声をかけないようにしていたのですが、やはりわざわざ急遽時間を割いてくれる人もいました。

 ひさびさに日本語で思う存分話せる上に、みなさん、先輩扱いしてくれるので、勝手なことを滔々とまくしたてて帰ってきました。

 ロンドンの中華街で買った差し入れや、要らなくなった本などがあったので、それらを運ぶため、かつて自分が住んでいた大学寮にも行きました。

 以前はクラスメートが住んでいたあちこちの部屋に、今、別な人たちが住み、当たり前のようにそれぞれの日常を送っているのです。自分が住んでいたフラットの前まで行ってみましたが、すでに何かが変わってしまったようで、そこにはいっていけそうな感じはしませんでした。

 後輩たちにバースの駅で見送られ、21時59分発の列車でロンドンに戻ってきました。

 列車の席にひとりで座っていると、すでにやるべきことはすべてやったはずなのに、なにかをやり残しているような焦りがこみ上げてきました。

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ご声援ありがとうございます。
出国まであと5日

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02/02/2007

光熱費

 また一日中翻訳です。ひたすら同じ姿勢でPCのスクリーンを見つめ、音楽を聴いたり、たまにギターを弾いたりするだけです。ときどきインターネットでまったく必要のないサイトを覗いたりもします。今、新しいPCを購入すべきかどうか検討中です。

 昨日、マークが来ると言っていたのですが、結局、来ませんでした。いつものことです。今日、来るのかどうか分かりません。今週末、来てくれないとイギリスにいるうちに光熱費の清算ができません。

 電気、ガス、水道の契約はマークの名義のままなのですが、どうやらマークはまったく支払いをしていないようです。最近、マークへの電話が頻繁にかかってきます。突然、ガスや電気を止められたらと思うとぞっとします。もっともガスに関しては、止める前に直接徴収があるというのは経験済みです。

 夕方、ひとりでリビングにいると上空で飛行機の飛ぶ音が響きました。墜落してくるのかと思うくらいの大きな音がかなり長い間続いていました。

 このフラットの建物は築80年だそうです。イギリスでは大して古い建物ではないと思います。防音効果はあまりよくなく、夜になると上の階にすんでいる住人のいびきが聞こえることもあります。

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やっとここまで来ました!
訪問者の3人に1人に協力してもらえれば1位です!

出国まであと6日

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02/01/2007

水砥石と乙女

 ピカディリー周辺で半日CDと本を物色していました。けれども結局、書評誌を一冊買っただけです。今、日本に送る荷物を箱に詰めはじめていて、極力荷物を減らそうとしているのです。

 CDはMP3などにしてしまえばかさばらないので、日本から数百枚分は持ってきていますが、それでも持ってこなかったものに限って聴きたくなります。イギリスではそれほどたくさんのCDは買っていません。

 本はそれほどたくさん持って来れませんが、それでも手元においている本は多いほうだと思います。置いていけるものは置いていきたいのですが、すでに入手困難なものもけっこうあって、これは置いていくわけにはいきません。

 バースに置いていけば、後輩のためになりそうなものもあるのですが、それは自分もこれから使えるものなので置いていけません。置いていけるようなものは、本当にどうでもいいような本ばかりです。

 簡単に手に入るようなものでも、それなりに値の張る本は持ち帰ったほうがいいように思えます。重量を減らすために高い本を置いて帰って、わざわざ買いなおすならどちらが得になるかわかりません。

 もちろん金銭的な損得は計算すればわかるのですが、正確な判断のためには肉の量り売りに使うような正確な重量計を今から購入する必要があります。さらにその重量計を持って帰るとなると、その重さを正確に測るための器具も必要です。

 もともと私のコースはそれほどアカデミックなコースではないので、それほど本が多いわけではないと思います。たぶん博士課程などに研究目的で留学している人なら、何倍もの本を送ることになると思います。

 ウォーターストーンでは、芥川龍之介や三島由紀夫の小説がジャック・ケルアック、トーマス・ピンチョン、カート・ヴォネガットなどのアメリカ作家に混じってカルト小説のコーナーに並んでいました。

 ヴァージン・メガストアでは、スティーヴ・ライヒのニューヨークでのライブ盤を見つけ、手にとって迷った挙句、思いとどまりました。以前は、CDショップに入ると何枚ものCDを束にして買っていたものですが、ここ数年はかなり慎重になっています。留学資金を貯めていた際の節約癖が抜けていないのかもしれません。

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英国留学のみで見ると1位です! でも週間支持率13%
出国まであと7日

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01/31/2007

帰国の荷物

 航空便の荷物はたいてい1週間もあれば届くものと高をくくっていました。日本に荷物を送るための書類を記入していて、困ったことに気づきました。荷物の到着は私の入国時を基準にして1週間から10日後になるそうです。

 これは日本への帰国者専用の便で、送る荷物は帰国に際しての別送品扱いになり、ある範囲までは関税免除の対象になるそうです。本人が帰国しないことには手続きが始まらないのです。むろん通常の郵便物扱いでも送ることはできるわけですが、そうなるとその会社の別部門の扱いで、別注、別払いで、かつ関税がかかるとのことです。

 私の帰国は15日。20日にはスーツを着ねばならない用事があります。日本にも冬物のスーツはありますが、着たいと思えるものではありません。帰国者用の荷物にスーツを入れておくと20日には間に合いません。

 中国旅行は小さめの鞄を使う予定だったのですが、やはり大きなスーツケースを使ったほうがよさそうです。あるいは当面必要なものだけ、別便で送るという手もあります。

 日本での日程を組んでいて、ひさびさに日本の路線案内を使いました。日本にいたとき、自分がどんなふうに新幹線の切符を買っていたのかを思い出すまでに少し時間がかかりました。

 体調は完全に戻りました。

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もう最後なので胴上げがわりにあげてください。
出国まであと8日

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01/30/2007

書名

 昨晩、床に就く前にはかなり体調も回復していたので、今朝は完全に復調しているかと思いきや、いざ目を覚ましてみると特に良くも悪くもなっていませんでした。漢方薬を飲んで大人しくしていました。

 大学時代からの友達から連絡がありました。12年間勤めていた会社を辞め、転職するそうです。前向きの転職です。さらにいよいよ小説を出版するそうです。彼とは大学の文芸サークル依頼の仲です。

 その小説の装丁にタイトルの英訳を使うかもしれないとのことで、英訳の案を出して欲しいと頼まれました。せいぜいふたつかみっつの単語ですが、友達の人生の大切な場面でなにか協力できることがあるのは光栄です。

 ここのところ、イギリスでの計画よりも帰国後の予定について考えることのほうが多くなっています。渡英の際は、未知の土地での計画だけに不確定要素ばかりだったのですが、今度は切符売り場も乗り換えホームもすべて把握できているので、なんの苦労もないはずです。なにか計画を思いつくたびに、それにまつわるすべての土地が細部まで頭に浮かびます。たぶん実際のその場に行くと、記憶と現実のさまざまな差異と一致にいちいちありきたりな感慨を感じることになるのでしょう。

 別の友達はとても忙しいらしく、たぶん2月、3月は1日も休みがないとのことでした。それでもどこかで時間の都合が合えば会えるようです。みんな忙しいスケジュールを都合してくれます。

 会えなくても全力を尽くしているのは想像できるのですが、会えば必ず刺激があり、こちらの士気も上がります。彼らの頑張りを見ていると、自分にもできるはずだと思うし、せねばならないという気になります。そういう友達がいるのは幸せなことです。もちろん私だって、帰国してとりあえずゆっくり、などという気持ちはまったくありません。

 風邪は明日までに治します。

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01/29/2007

昼寝

 集中して働く日にするつもりだったのに昼食後、急に体のだるさを感じました。風邪をひいてしまったようです。

 去年の冬は例年になく頻繁に体調を崩していたのですが、今年はイギリスの気候に慣れたせいか、多少の無理をしても平気で過ごしていたのです。ここ数日、特に忙しかったわけでも寒かったわけでもありません。なにが祟ったのでしょう。

 PCの電源を入れっぱなしで寝室に行き横になりました。その途端、緊張の糸が切れ、体の奥からなにやら重苦しい妖気があふれ出てくるのが感じられました。観念し布団をかぶり、昼寝をすることにしました。在宅勤務のありがたさです。

 漢方薬を飲んで3時間ほど眠るとかなり体調がましになりました。ふたたびPCに向かいましたが、当然のことながらその後の作業は正確に3時間ずつ遅れていきました。

 とりあえず翻訳だけは今日の予定を終了しましたが、そのほかの予定は明日に回します。元気なら明日は出かけるつもりだったのですが、どうやら大人しくしていたほうがよさそうです。

 リビングのテーブルにシュアンの薬が放置してあったので、なんの薬か聞くと、喉が痛いとのことでした。

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週間支持率10%近くまで上昇
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01/28/2007

邂逅

 去年、バースの中国語コースで学んでいたスコットランド人の誕生日ということで、昼食会に誘われました。ロンドンに来て以来、彼女も何度かうちのフラットに遊びに来てくれていたので、私も同席しても構わないだろうと思い出かけることにしました。

 すでにクラスメートの大半が帰国しているのは中国語コースも同じです。せっかく誕生日だというのに、人数が少ないと気の毒かもしれないという考えもありました。ところがそんな考えは杞憂に過ぎず、十人以上が中華街に結集しました。結局、バースの卒業生は半分以下でした。

 それでももはや会う機会もほとんどあるまいと思っていた中国語コースの卒業生との再会は嬉しいものでした。途中、ひとりが台湾に帰ったクラスメートに電話をしたので、彼女とも話すことができました。

 もうすぐ中国に行くので、今、わざわざイギリスで中華料理を食べたい気持ちはまったくないのですが、もうこんな集まりに参加する機会もなさそうです。ちなみに次のパーティーは中国の春節の日に決まりましたが、その頃、私はすでに日本にいます。

 中国では成都のあと13日、14日は上海に2泊します。上海でも友達に会うつもりで、都合を聞いてみたところ、13日はOKでしたが、14日はやんわりと断られました。

 曰く「その日は、どこのレストランも予約が取りづらいし、バレンタインデーに男ふたりでレストランに行くのはどうかと思う」とのことでした。

 やつがこんなことを言っているよ、と、シュアンに言ってみたところ、誰かと合う予定があるんじゃないの、と言われました。たしかに上海には彼とすごく仲が良かったクラスメートもいるのです。

 そんなわけで今年のバレンタインデーの夜は上海でひとり豪華な中華料理を食べることが確定したのでした。

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01/27/2007

駆除

 アンチウィルスソフトの動作が非常に不安定で、メーカーに対処法を聞き、さっそく返事はもらったものの、うまく行かず、何度かやり取りを繰り返しました。

 レジストリの情報を手動で編集するなど面倒な作業の末、最終的になんとか問題のソフトをアンイストールすることができました。このまったく生産的とは言えず、特に楽しいわけでもない作業に3時間以上を費やしました。

 ウィルスを駆除するためのソフトの駆除にこれほどの手間がかかるとは皮肉なものです。再インストールしなおし、最悪の状況は脱したものの、まだ完璧な状態にはなりません。

 夕方から人に会いました。このブログを通じて知り合った人が、私の帰国を前にしてわざわざニューキャッスルより訪ねてきてくれたのです。

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出国まであと12日

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01/26/2007

後始末

 こまごまとした後始末がいろいろとあります。

 バースからリーズ、ロンドンと移動していたときには、あまりにも慌しく、本来すべき手続きもせずにとにかく体だけ移動していました。

 したがってNHS(健康保険)の登録住所はバースのままです。風邪をひいたらバースまで行かねばなりません。しかもたぶん診察は数日後です。ソフィアもわざわざ歯の治療でバースまで行ったことがありました。

 TVはマークがライセンスを持っているので、本来、このフラットでは不要です。今、かつて大学寮の私が住んでいた部屋に住んでいる人がテレビを持っているならば、私の権利を享受していることになります。一度解約しようと思って電話をかけてみたのですが、何度かけても話中でつながりません。ちなみに契約するときには一度でつながりました。

 携帯電話はプリペイドのような形式を使っています。この料金をあとどのくらい入金しておくかも問題です。そもそも私は自分から電話をかけることはそんなにありません。機械自体は残しておくつもりです。SIMカードを入れかえれば中国でも使えるし、またイギリスに来ることがあればそのときも使えます。イギリスに旅行する人に貸すこともできます。地下鉄、バス共通のプリペイドカードであるオイスターカードも同じような問題があります。

 銀行口座をどうするかも迷っています。解約するのは簡単だと思うのですが、開設し入金するのはけっこうな手間です。残しておけばまたイギリス旅行するときにあらかじめこの口座に送金しておき、今までと同じようにデビッドカードで買い物をすることができます。

 次にイギリスに来ることが確実に決まっていれば、口座の残金をそのまま残しておいてもいいわけです。最近、対円ポンドレートは上昇気味だし、銀行の利息自体、イギリスのほうが断然お得です。オンライン・バンキングでもあるていどの管理は可能なので、日本からでも口座を確認することはできます。毎月送られてくる明細の住所を海外にすることも可能だそうです。けれどもイギリスで請けている翻訳の料金振込先は日本の口座に変えてもらうように頼みました。

 さらにインターネットのプロバイダの契約解除、購読しているエコノミストの住所変更などもあります。エコノミストはイギリスにいるうちに購読し、途中で海外に住所変更しても追加の送料は請求されないとの噂です。

 同時に日本での生活の再出発についても計画を始めています。渡英の際、住民票を抜き、健康保険も解約してきました。国民年金だけは残してありますが、住民税、所得税などは支払い義務のない状態です。確か住民票の転出先には漠然とイギリスとのみ記してあります。

 ふと思ったのですが、私が日本に帰ったとしても、市役所には知る余地がありません。このまま住民登録をせずに済ませれば、日本に住みながら税金を払わなくてもすむ身分になるのでしょうか。

 パスポートの切り替えの時には住民票がいるはずですが、渡英の直前に新たに10年間有効のパスポートに切り替えてきました。しかし次の切り替えのときにはどうなるのでしょうか。

 もちろん国道や県道などを使わずに暮らすことはできませんが、税金を払い国のサービスを享受するのと税金を払わずに国や地方自治体のサービスも使わないのはどちらが得なのでしょうか。

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(先週の訪問者のうちこのYESをクリックしてくださった数を集計してみるとわずか5%ほどでした。とても悲しい数字です。)

出国まであと13日

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01/25/2007

成功と失敗

  一日中、フラットにいて、さまざまな手配をしたり、掃除をしたり、翻訳をしたり、料理をしたりしていました。日に日に自分が一人前の主婦に近づいているのを感じます。

 来週の初めに通訳の仕事が入るかもしれないという話があって、もしそうなら明日までに今回の翻訳を終わらせておかないと締切に間に合わないところだったのですが、結局、その話は他の人に決まったようです。

 もしこれが決まれば、イギリスで最後の通訳の仕事になるはずでした。これでこのまま翻訳をこなしつつ、平和にイギリスをあとにすることになりそうです。多少スケジュールに余裕ができました。

 実はしばらくまったく通訳から離れているので、冷や冷やしていました。翻訳のほうが少なくとも精神的には楽なので、そこに安住してしまっていた部分があったと思います。翻訳をしていることで自分を許してしまっていたわけです。いざというときに対応できないのは大きな問題です。武士たるもの、いつでも刀を抜けるよう覚悟しておかねばなりません。

 留学でイギリスに来ているので、大学院のカリキュラムをこなすのは当然として、その他にもいろいろなことに取り組んできました。もともとイギリスにはなんの足がかりもなかった割には、限られた期間でそれなりのことができたと思います。

 具体的な成果につながる活動のなかで、成功と失敗を並べてみると両者がほぼ同じ数になっています。多くの人に出会えたとか、日本ではできない経験ができたとかいうのは当然のことなので、数には含んでいません。楽しい思い出もたくさんありますが、それも別の話です。

 そのときどきは目の前の仕事をこなすのに夢中でひとつひとつの出来事の意味を十分につかめませんでした。そもそもイギリスに来てから、常になにかに追われるように日々を過ごしてきたように思えます。

 今振り返ってみると、失敗というのはやはり自分の力を上回る状況に直面したときに起こっていたように思えます。これは運ではありません。機会がそこにあるのに自分の実力不足のせいでその機会を活かしきれなかったときが失敗なのです。

 となれば、さらなる失敗を避けるためには、とるべき方策は二つあります。ひとつは自分のできることを自覚し、その範囲内の問題のみに取り組んでいくことです。もうひとつは自分の足りない部分を分析し、それを克服することです。

 言いかえれば守りにはいるのか攻めをとるかということです。それほどの苦労をせずにそれなりの実績を上げられる道を選ぶのか。あるいは挫折の可能性はあるけれども自分が成長できる道を選ぶのか。

 これは究極的には二者択一の問題であるし、そもそも問題を設定した瞬間から答えは出ているとも言えます。けれども現実的な選択の場では、案外両者の折衷案を選ばねばならない場合も多いのです。

 実際に取りえる立場は二つの道の一方というよりは、とにかく袋小路に入ることを避けることというのが現実的な判断基準になることも多々あります。

 計画表には徐々に日本での予定が増えてきています。

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出国まであと14日

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01/24/2007

コドルド・エッグ

 今朝のロンドンは雪化粧でした。わずか1インチばかりの雪ですが、市内交通は大きく乱れたそうです。夕方からさらに雪になるとの予報でしたが、今のところ降っていません。

 今日はハロッズに買い物に行きました。いよいよ帰国するので日本へのお土産を買いに行ったのです。なぜハロッズがいいのか、私にはまだ理解できません。けれどもそれ自体が観光名所となるくらい由緒正しいデパートで、店名入りの土産品などもあるくらいのなので、イギリスの記念品を買うならこの店がいいのではないかと考えたのです。ハロッズはこの冬最後のバーゲンの最中でした。

 当初、紅茶用のポットでも買うつもりでした。両親の家にはカップのセットはいくつかあったけれどもいいポットがなかったはずです。

 陶磁器の売り場を見て回るうち、隅のほうに不思議な器を発見しました。見たことのないかたちの器です。大き目の湯飲みのようなものに金属製の蓋がついています。品名はエッグ・コドラーegg coddlerで、イギリスのRoyal Worcester社の製品です。ひとつ15ポンドとけっこうな値段です。

 しばし足を止め眺めいるうち、この器の説明書が見つかり、手にとって見るとレシピが書かれていました。どうやらコドルド・エッグという洋風の茶碗蒸しのような料理を作るための器のようです。器にはひとつひとつ華やかな絵柄が描かれており、食卓に並べるだけで楽しくなりそうです。

 予定を変更し、これをお土産にすることにしました。これは日本では見たことがありません。ティーポットはどこでも買えます。

 エッグ・コドラーは全部で15個買いました。両親、祖父母、弟家族の3世帯分です。ハロッズから日本に直接送ってもらうようにしました。発送には10営業日かかるとのことなので、2週間弱で日本に着くでしょう。もしなにかあったらロンドンで対応できるでしょうか。

 帰宅後、インターネットで調べてみると、エッグ・コドラーはRoyal Worcester社が初めて製作したそうです。

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出国まであと15日

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01/23/2007

モニカ

 翻訳三昧でした。今日はなんとか予定通り進みました。

 途中、不動産会社の人たちが合鍵を取りに来ました。昨日来るという連絡があったけれど、来ませんでしたね、と言ってみたのですが、それは自分の同僚で自分ではない、とか責任逃れをするのみで、納得のいく応対は得られませんでした。

 我々がこのフラットに来る前にはモニカという人物が住んでいたそうですが、我々は会ったことがありません。マークの話によるとモニカは数か月分の家賃を踏み倒して逃走してしまい、行方不明だそうです。たぶんそのせいでマークは直接契約よりも不動産会社を使うことを選択したのだと思います。

 フラットにかかってくる電話の半数はモニカへのものです。なぜ知り合いに電話番号を知らせなかったのか。そんなに交友関係が広い人物だったのか。不思議に思っていたのですが、疑問が解けました。

 未だにこのフラットにモニカ宛の郵便物が届きます。モニカに渡す手立てはないし、私信よりは商用の郵便物が多いので、そのまま捨ててしまうのですが、今日は内容の分からない封筒を開けてしまいました。

 モニカはなにかの料金を払っていないようで、その件に対して法的措置をとるための最終通告でした。金額は数百ポンドです。おそらく他にもこのような案件がいくつかあるものと思われます。

 しばらくこの手紙を眺め、やはり開けないほうがよかったかな、と思い、手紙を封筒のなかに戻し、そのままゴミ箱に突っ込みました。

 ひさびさにいい天気でした。けれども裏庭に出てみるとあいかわらずの寒さでした。

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01/22/2007

抗ウィルス

 バースにいる間は大学指定のアンチ・ウィルスソフトを使っていたのですが、寮を出てウィルス定義ファイルの更新ができなくなりました。しばらくは古い定義ソフトのまま使用していたのですが、いよいよ動作に支障をきたすようになり、ひと月ほど前にCAという会社のソフトを導入しました。

 このソフト、アウトルックとの相性がよろしくないようで、アウトルックが頻繁にフリーズします。長いメールを書いている最中にフリーズすると、せっかく書いていた文章が無駄になってしまうので、まず別のファイルに文章を書き、それをメール画面に貼り付けるという余計な工夫を余儀なくされます。

 日本に帰れば新しいPCを買うつもりなので、それでもだましだまし使っていたのですが、今日はさらに不安定な動作を起こし、ウィルス定義ファイルを更新できなくなりました。あまりの鬱陶しさに、いっそアンインストールし、他社製品に乗り換えようとしたのですが、アンインストールすらうまく行かず、途中でエラーが出てしまいます。

 ウィルスソフト自体がまるでウィルスのような振舞いをするので、とても理不尽な気持ちになります。一日の始まりにこの問題の対処で数時間を費やし、翻訳のノルマをこなせませんでした。

 いよいよイギリスで過ごす日が少なくなっています。日程表をつくり、いつなにをするかを明確にする必要があります。翻訳は毎週締切があるので、仕事の日はあらかじめ確保しておきます。おそらく中国訪問中は仕事はしませんが、その分イギリスにいる間はぎりぎりまで仕事をし、日本に帰ると直ちに再開する予定です。

 ひどく寒い日でした。フラットに閉じこもりきりでしたが、暖房をつけっぱなしにしていても、外の冷え込みが室内まで忍び込み、いつもよりもかなり厚着をしていました。

 不動産会社が合鍵を取りに来るという連絡があったのですが、なぜか誰も現れませんでした。

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出国まであと17日

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01/21/2007

貸出中

 昨晩から大家のマークが来て、今日は午後から浴室の窓のペンキを塗り替えていました。といってもマークはかなりおしゃべりで、シュアンや私としゃべっている時間のほうが圧倒的に長く、途中で夕食を一緒に食べ、作業が終わったのは午後10時でした。

 昨日気づいたのですが、我々のフラットの前に貸出中の看板が設置されました。マークが不動産業者に仲介を頼んだそうです。家賃は今、我々がはらっているよりもかなり高めになるようです。我々は知り合いということでかなり安くしてもらっているのです。

 シュアンは出来ればこのフラットに残ることを希望しています。引越し自体の煩雑さ、費用も馬鹿にならないし、今の家賃で同等の部屋を借りることはおそらく不可能です。

 今日はシュアンの友達がこのフラットを見学に来ました。バースにいたころのフラットメイトで、ちょうど今、ロンドンで住む場所を探しているそうです。いまいち値段的な条件が折り合わないらしく、マークとも家賃の再交渉をしていましたが、マークにも自分なりの資金計画があるらしく、これ以上は譲れないということを自分の財産管理、投資状況、仕事の状況などを具体的な数字を挙げ詳しく描写し、説明していました。

 マークと相談の上、シュアンは方策を変更し、インターネットに広告を出し3人目のフラットメイトを探し始めました。バースの頃のフラットメイトと部屋を共同で使用し、今私が使っている部屋を第三者に貸し出そうという作戦です。

 マークは今の条件のままなら問題ないので、この第三者に相場どおりの価格の家賃を払ってもらえば、シュアンたちの家賃はさらに安く上がるというわけです。

 私はといえば、身の回りのいろいろなものの整理を始めました。昨晩は夜中に目が冴えてしまい、イギリスで経験した成功と失敗の一覧表などを作成していました。

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出国まであと18日

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01/20/2007

皮も実も

 漠然と今日は翻訳に一日費やそうかと思っていたのですが、シュアンが週末だからなにかしようというので、それにつきあいました。私はあまり主体性というものに価値を置かない人間です。

 だからといってシュアンは街に出て派手に遊ぶというタイプではなく、買い物に行って一緒に餃子をつくったのでした。

 この場合、餃子をつくるというのは、粉を練って皮を作るところからはじめるということです。

 中国北部で正月といえば各家庭で餃子をつくって食べる習慣があるようで、去年、バースにいたときも陰暦の正月には餃子をつくるパーティーに招かれたのでした。思い起こせば、そのときもシュアンは鮮やかな手つきで餃子の皮をひねり出していました。

 今日の具材は二種類です。ひとつが豚肉とセロリを主とするもの、もうひとつが鶏肉ときのこを主とするものです。

 あまりの数の多さに容器が足りなくなり、途中でできた分だけ茹でて食べてしまいました。一息つくと満足してしまい、残りをつくったときにはすでにかなり満腹でした。したがって後半作成分は、火を通さずに冷凍庫に保管しました。

 シュアンの故郷ハルビンでは、あまった餃子は廊下に出しておけばそのまま凍ってしまうそうです。

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01/19/2007

蝶々San

 ロンドン大学SOASの講演会に行ってきました。昨日の夕食のとき、リンが有名な演劇の監督の講義があるから聞きに来ないかというので、ひさびさに大学の講義でも聞こうかと思い出かけたのです。

 会場についてみると講師はオペラ『蝶々夫人』の監督デヴィッド・フリーマン氏でした。来月22日からロンドンでこのオペラの上演があることは知っていました。会場はビートルズのA Day in the Lifeでも歌われるロイヤル・アルバート・ホールです。

 中国人会主催の講演なので日本人の聴衆は私だけでした。私はメモ取りの練習のつもりで行ったのですが、隣に座ったシュアンがゲイシャ、セップクなど日本文化に関する用語が出てくるたびに質問してくるので、その度に小声で説明せねばなりません。

 今回のオペラ、主役の蝶々夫人の役は中国人が務めます。映画『SAYURI』のときと同じ図式です。フリーマン氏は、長崎が舞台の話だけに日本人を使いたかったらしいのですが、どうしても日本人でいい人がいないということを、苦しげに言い、もしかすると日本にはいるのかもしれないが、と付け加えていました。

 フラットに帰ってから、細野晴臣の「蝶々San」をシュアンに聞かせたところ、気に入ったようで、いつまでも口ずさんでいました。

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